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眼科検診での「緑内障」Q&A

こんにちは。あっという間に8月も半ばですね。
クリニックは8月15日(木)まで夏期休暇をいただいております。
16日(金)より通常通りの診療になりますので、ご理解の程お願いいたします。
夏季休暇明けの16日(金)午前中は混みあう可能性がありますので、ネットから事前にご予約いただけると幸いです。また、曜日に関わらず午後は比較的空いております。

 

さて、今年も6月から、中野区眼科検診が始まりました。
検診項目は、問診・矯正視力検査・屈折検査・角膜曲率検査・精密眼圧検査・精密眼底検査・ 細隙燈顕微鏡検査(前眼部)となり、病気を患っていないか診察します。また、当院では緑内障の早期発見のためにOCT(光干渉断層撮影)を追加でおこなっています。(追加費用はありません)


検査後によくご質問をいただくのが「緑内障」についてです。眼科検診の対象年齢がちょうど緑内障が発症する年代であることや、インターネットなどを見て気になっているという方や、過去に健康診断で指摘されたことがあるという方、家族に緑内障の方がいるので気になるという方など様々です。

緑内障は40代以上で発症するといわれていますが、実際には、はやり目(流行性角結膜炎)やものもらいで受診した20代や30代の患者様で緑内障に罹患していたケースもあります。また、若い方で健康診断の眼科検査で指摘された方で緑内障が発見されることは珍しくありません。初期は自覚症状がないため、日頃から眼科へかかることが少ない方は眼科検診はとてもよいタイミングだと思います。

 

今回は、6月からの中野区眼科検診でお越しになられた方から頂いた緑内障や検査についての質問をまとめました。検診にお越しの際には、何か疑問に思われることがあれば検査員でも医師でもお気軽にご質問ください。

 

ーーーー緑内障とは?----

緑内障とは、中途失明原因の第1位で、2023年には全体の41%を占めるまでになりました。アジア全体で増えており、日本でも年々増えており患者数は推定500万人以上といわれています。

症状は、視神経に障害が起こり、見える範囲が狭くなっていく病気です。時間をかけて少しずつ見える範囲が狭くなり、進行が比較的緩やかです。初期では自覚症状がないため、視野障害を自覚する段階では、かなり病状が進行していることになります。


緑内障のリスクが高まる目の病気に、病的近視があります。病的近視とは強度近視の中でも、近視化により眼球が後方に引き伸ばされることで、網膜や脈絡膜がびまん性に傷んだり、視神経が障害される状態のことを言います。強度近視と診断されたことがある方は病的近視へと進行する割合が高く、40歳以降はより一層、緑内障にも注意していただきたいと思います。

老眼になる40歳以降はから緑内障が発症しやすくなりますが、自覚症状が乏しい場合は、症状が出てご自身で気がつく頃にはすでに何年か経っており、視野欠損が進行してから来院されることも少なくありません。緑内障では、悪くなった視野を元に戻すことは出来ません。40歳以降は(強度近視の方は30代からでも)は、健康診断や眼科検診などを定期的に受診することで緑内障を早く発見することができます。緑内障は、早期発見し、進行を遅らせる治療を開始することが大切です。

 

ーーーー緑内障でも眼圧が高くなければ放っておいても大丈夫ですか?----

正常眼圧緑内障では、眼圧が正常範囲内でも視神経の障害は進んでいます。症状はゆっくりと進行することが多く、視野の周辺から視野欠損が始まり、視野欠損が進行し自覚症状が出てきます。この視野欠損は元に戻すことはできません。眼圧が正常範囲内でも病状は進行していますので放っておくのではなく、眼科にて薬物療法(点眼薬)にて眼圧を下げるとともに、定期的な視野検査を行うことが重要です。

 

ーーーー定期的な視野検査は重要ですか?----

緑内障の検査には、眼圧検査・眼底検査・隅角検査・OCT検査・視野検査があります。
緑内障の初期~中期においては、視野検査は正常な結果となることがあり、初期の緑内障スクリーニングでは緑内障の発見は難しい場合があります。
しかし、定期的に視野検査をすることで、視野の欠損の進行を確認することができます。定期的に行うことには意味があり、一定の期間を開けて検査することで以前と比較して進行がゆっくりか、急激に進んでいるかを判断することもできます。その後の治療を適切に行うために定期的な視野検査はとても重要です。また、しばらく眼科を受診していないが過去の視野検査の結果をお持ちの方は、当時の結果と現在の比較することもできるので、捨てずにとっておいて眼科受診時にお持ちください。

【視野検査結果】

 

ーーーーOCT検査とは何でしょうか?----

OCT検査とは、網膜の断層画像を撮影する検査です。
私たちの目の奥には、カメラのフィルムのような役割をする「網膜」があります。その網膜を、光干渉断層計という検査機器を使い、眼底検査だけではできなかった網膜の断面像を撮影することができます。そして、網膜の表面の神経線維の厚みを測定し、正常値と比べてどのくらい神経線維が薄いかを測定し、緑内障による神経障害がないかを確認します。また、網膜神経線維層の厚みではなく視神経乳頭の形状をOCTで解析する方法もあります。
これまでは難しかった初期の緑内障の診断だけでなく、網膜疾患や黄斑部病変の診断が今までよりも正確にできるようになり、病気の早期発見、治療方針の決定、治療効果の測定に役立っています。

【OCT検査結果画像】

下の画像の赤く広がっている部分が緑内障による変化です。

 

 

中野区眼科検診では、特に目に不調がない場合でもしっかりと眼科検査・診察を行います。診察の際に、今の目の状態を医師より説明させていただきます。
目の疾患の中には、自覚症状がないまま進行するものがあります。一番大切なのでは疾患を早期発見し、進行を遅らせることだと思います。
しばらく眼科を受診されていない対象年齢の方は、ぜひ眼科検診で受診されることをお勧めします。

 

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