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白内障手術症例⑩(クラレオン パンオプティクス・選定療養)

皆様、こんにちは。

院長の岩田です。

常日頃、多焦点眼内レンズについてのブログを投稿しておりますが、10月は白内障手術患者さまの半数以上の方が選定療養による多焦点眼内レンズを希望されました。

これもアルゴス・ベリオンの導入による乱視矯正の精度の向上によるものと考えております。

そこで今回は、片眼のみの若年性白内障の患者さまの白内障手術経過(クラレオン パンオプティクス・選定療養)についてご報告しようと思います。

 

 

 

 

【症例】50歳代・女性

数年前より左眼の視力低下を自覚して来院。白内障であることをお伝えしたところ、しばらくは眼鏡を作製して手術はもう少し待ちたいとのことでした。

 

【初診時の視力】
・右(5m)

0.5(1.2×S+0.50D:C-3.00DAX90°) 

・左(5m)

0.4(0.6×S+0.50D:C-2.75DAX90°)

となっておりました。

左眼の矯正視力は白内障の影響で低下しており、両眼とも乱視(青数字)が強い状態でした。

 その後も左視力は徐々に低下して、3か月後には(0.6)から(0.1)になってしまったため、仕事にも支障を来たすようになりました。

そのため手術を希望されました。

ーーーー患者さまのご希望ーーーー

  • 手術をするほうの眼は裸眼で全ての距離を見たいため3焦点レンズを希望。
  • 遠くは細かいものは見えなくていいので、とにかく近方をしっかり見たい。

とのことでした。

 

ーーーーレンズの決定・手術についてーーーー

3焦点レンズを選択した場合の術後の過ごし方として

  • 手術をしない方の右眼は遠・中・近も日常生活に大きな支障がない程度に見えている。そのため術後も裸眼で過ごす予定。
  • 手術をした後の左眼で主に見るようにして、右眼は補助的な役割をする。
  • 手術後に、右眼でも裸眼ではっきり見たい場合はソフトコンタクトレンズを装用して乱視を矯正することで、くっきりと見てもらう。

以上のことを提案しましたところ、患者さまからご了承をいただきました。

また近方をしっかり見えるようになりたいとのご要望でしたので、レンズはクラレオンパンオプティクス(乱視矯正レンズ)に決定して、ピントを少し次のように近方に合わせることにしました。

近方距離:40cm→33cm

中間距離:60cm→45cm~50cm

 

手術も無事、問題なく終了しました。

術直前の視力と術後3日目の視力を下記に示します。

 

【手術直前の視力】
・右(5m)

0.5(1.2×S+0.50D:C-3.00DAX90°) 

・左(5m)

0.1(矯正不能)

【手術後の視力】
・左(手術3日後:5m
0.9×IOL(1.2×IOL×S-0.25D:C-0.50DAX120°) 
・左(手術3日後:70cm
1.0×IOL 

・左(手術3日後:30cm)
1.0×IOL

術後は左眼の5m視力が0.9と、ピントを近方にずらした影響で少し落ちていますが患者さまは満足しておられました。

手術をして、まだ間もないですが近くの見え方も視力の数値通り申し分ないそうです。

当院では両眼のバランスを考えて白内障手術を計画しております。

片眼の白内障手術をお考えになられており、術後の左右の見え方のバランスに不安がある方は、ご職業や生活習慣に応じた、ご提案をさせていただきます。ぜひご予約下さい。

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