後発白内障
後発白内障は、白内障手術を受けた方のおよそ2割が5年以内に発症すると言われており、発症率が比較的高い疾患です。
その名前から「白内障が再発した」と感じられる方や、「白内障の手術を受けても数年経てば再発する」と思われる方もいらっしゃいますが、正しくは「白内障」は一度手術を受ければ再発することはないため、別の病気です。
術後一定期間経過した後に、視力低下や見えにくい症状がある場合には、後発白内障が原因となっている可能性があります。
主な原因としては、水晶体を覆っている透明な袋状の水晶体嚢(すいしょうたいのう:透明な袋状の組織)に細胞が増殖し、水晶体嚢が濁ることで発症します。
後発白内障は外来にてレーザー手術によって回復することができます。
レーザー手術は、外来にて早ければ当日に行うことが出来ます。また、術後の行動制限はなく、普段通りの生活を送ることができます。
後発白内障の症状
水晶体嚢内部の水晶体上皮細胞が変性することで、視力低下や見えにくさ、目のかすみといった症状があらわれます。症状は、白内障と似ており、「白内障が再発した」と思われる方がいらっしゃいます。
症状が進行するにつれて見えづらさを感じるようになります。
発症時期は、白内障手術の数週間後に発症することもありますが、緩やかに進行して術後数年経過して初めて症状を自覚するといったケースもあります。
後発白内障は、自然治癒を期待することができないため、外来にてレーザー手術を行うことで視力を回復することが出来ます。治療せずに放っておくと、視力低下や見えにくさが悪化することがあります。
後発白内障の検査方法
自覚症状が無い方であっても白内障手術後は定期健診を受けましょう。
後発白内障は、眼科で一般的に行われている細隙灯顕微鏡検査によって見つけることができます。
散瞳剤を使って瞳孔を広げることでより精度の高い検査を行うことができます。
(散瞳検査の後は、しばらくまぶしさが残ります。ご自身の運転によるご来院はお控えください)
後発白内障の原因
白内障手術の際、水晶体嚢内部に水晶体上皮細胞が残存します。
残存した水晶体上皮細胞が増殖して水晶体嚢後部にまで至ると、水晶体嚢が濁り、視力低下や見えにくさ、目のかすみなどの症状があらわれます。
白内障手術の際に眼内に挿入した眼内レンズが濁っているということではありません。
後発白内障の
治療方法・治療期間
治療方法は、YAGレーザーを使い、レーザー手術を行います。レーザー手術は外来にて行えるため、基本的に日帰りで行うことが出来ます。麻酔成分が入った点眼薬を使用し、レーザー用のコンタクトレンズをつけて行います。濁りがある後嚢の水晶体嚢にYAGレーザーを照射して切開することで、後嚢の濁りを解消することができます。痛みを感じることはなく、治療翌日には視力回復が期待できます。白内障手術のように術後の行動制限はなく、通常通りの生活をしていただけます。視力低下や自覚症状がない場合は経過を観察する場合もあります。
後発白内障の治療経過
・合併症・後遺症
後発白内障は適切な治療を行うことで再発するリスクは非常に少ないと言えます。
レーザー手術後には、視界の中で虫が動いているように感じる、黒いものが動いているという症状があらわれる場合があります。
これは、レーザーで水晶体嚢を切開した際に飛散した水晶体上皮細胞の塊によって生じるものですので、時間が経つにつれて次第に症状は改善されていきます。濁りが強いほど、吸収されるのに時間がかかります。
また、眼圧上昇、炎症、網膜剥離などを発症する場合も非常に稀ですがあるとされているため、後発白内障の治療後で見え方に違和感がある場合や、痛みを感じる場合は、なるべく早めに主治医へご相談ください。
後発白内障になりやすい人
後発白内障になりやすい年齢や性別は、未だ分かっていません。
発症は高齢の方よりも比較的若い方に発症しやすい傾向にあります。新陳代謝が活発な若い方は、水晶体上皮細胞の増殖率が高いことが原因です。
また、糖尿病網膜症、ぶどう膜炎、アトピー性白内障、落屑症候群、強度近視、網膜色素変性症で術後に後発白内障が発症しやすいという報告もあります。